知っておこう!遺言書について

遺言書があった方がよい人
遺言書の種類
自筆証書遺言

公正証書遺言
秘密証書遺言

遺言書の種類とメリット・デメリット
遺言書がある場合・ない場合の相続手続き

法定相続人は誰か
争族にしない最初の相続
トラブルにしない遺言書とは
遺言書作成時の注意事項

検認
遺留分
寄与分
特別受益
遺言執行人
二次相続
予備的遺言 
付言事項

 

遺言書があった方がよい人 


次の場合、遺言書があった方がよい人です。

  1. 法定相続分と異なる分配をしたい
    • 多めに財産を分配をしたい人がいる、財産をあげたくない人がいる場合です
  2. __sozai__/0004433.jpg子どもがいない
    • 子どもがいない場合、配偶者と義理の両親(義理の両親がいない場合は義理の兄弟)で遺産相続を行わなければなりませんから、配偶者が大変な思いをします
  3. 再婚をしていて先妻と後妻に子どもがいる
    • 先妻の子どもを交えての遺産分割協議はモメる可能性がありますし大変です
  4. 病弱・障害のある家族がいる
    • 病弱・障害のある家族の財産管理や後見人の問題があります
  5. 財産を相続させたくない人がいる
    • 浪費家の子に財産を相続させたくない場合や、行方不明者がいて遺産分割協議が行えないことがあらかじめ分かっている場合です
  6. 財産分与をしたい人がいる
    • 死亡した息子のお嫁さんにお世話になったから財産を少しでもあげたい、内縁の妻や婚姻外の子どもへ財産を渡したいなどの場合です
  7. 個人企業・農業の経営者で事業を継承させたい
    • 事業用資産が分散すると事業継承に支障をきたします

 

 

遺言書の種類 


遺言は、法律で定められている事柄について、遺言者の生前の意思や希望を表したもので、遺言を残した人が死亡した時にその効力が生じ、その内容が実現されることになります。

ですので遺言書は、法律で定められた方式によって作成しなければなりません。

一般的な遺言には、3種類あります。

 (1)「自筆証書遺言」、(2)「公正証書遺言」、(3)「秘密証書遺言」の3つです。

それぞれの遺言にメリット・デメリットがあるので、十分理解したうえで遺言を書くことが大切です。

 

 

自筆証書遺言 


自筆証書遺言は、遺言者が遺言の内容、日付、署名を自筆で書面にし、押印をして作成します。

自分で作成できるため最も簡単で費用がかからない方式ですが、法律で定められた要件を欠いてしまって、遺言が無効になってしまったり、記載内容が明確でないとされてその効果が認められないこともあります。

また、保管方法が適切でないと遺言書を紛失してしまったり盗難にあう危険性もあるほか、改ざんされる可能性もあります。

本人死亡後、自筆証書遺言を発見したら、開封せず、家庭裁判所で遺言書の検認を行わなければなりません。

自筆証書遺言は、すぐに名義変更等の手続きができるわけではなく、まずは家庭裁判所に検認申し立てを行うことから始めなければなりません。

 

【まとめ】

  • 全文を手書きで作成
  • 有効・無効の争いになりやすい、偽造・変造・隠匿されるなどのデメリットがある
  • 遺言者が死亡後、家庭裁判所で遺言書の「検認」(遺言書の偽造・変造防止の手続きを行うもので、申立時に、遺言者の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、住民票の除票、相続人の戸籍謄本などが必要です)が必要

 

 

公正証書遺言 


公正証書遺言は、公証人が法律で定められた方式に従って作成する遺言書です。

通常は公証役場へ出向いて作成しますが、身体が不自由などで公証役場に行けない場合は、公証人が出張してくれます。(出張費用が別途かかります)

遺言者が公証人に遺言内容を口述し、公証人が遺言書を作成します。後日公証人が、作成した遺言書を遺言者と証人に読み聞かせ、その書面が正確であることを確認したのち署名・押印します。

作成にあたっては、公証人に作成を依頼して手数料を支払う必要があるので、公証役場へ行く手間や費用がかかります。また、証人として2人以上が必ず立ち会わなければなりません。

しかし、公証人という専門家が作成するので遺言が無効となることは少なく、また、作成された遺言書は公証役場で保管されるため、紛失や遺言の内容を改変されるおそれもありません。最も安心で確実な遺言の方式といえます。

検認手続きが不要なため、すぐに名義変更等を行うことができます。

 
【まとめ】

  • 公証役場で作成のため、費用がかかる
  • 証人2人以上が必要(利害関係人や親族はダメ)
  • 公証人が作成するため、本人の意思が明確、無効争いになりにくい
  • 検認が不要なため、すぐ相続手続きができる

 

 

秘密証書遺言 


あまり一般的ではない遺言方法です。

遺言の内容を遺言者以外に知られることなく作成できることが最大の特徴で、代筆やワープロで作成することも可能です。

自筆証書遺言より要件は厳しくありませんが、公証役場で遺言書の存在を承認してもらうため、公証役場へ行く手間や費用がかかります。

秘密証書遺言は、遺言を封筒に入れ、遺言書に押印したものと同じ印鑑で封印したのち、公証人が所定の事項を封筒に記載したうえで、遺言者や証人2人以上が署名・押印します。

しかし、自筆証書遺言と同様、要件を満たさない遺言書は無効になる危険性があり、検認も必要です。公証人の手数料や証人も必要になるため、実際にはあまり利用されていません。

 

【まとめ】

  • 内容を秘密のまま遺言書の存在を証明できる
  • 公証役場で遺言書の存在を確認するため費用がかかる 
  • 証人2以上が必要(利害関係人や親族はダメ)
  • 無効になる可能性がある
  • 紛失、隠匿のおそれがある
  • 検認が必要

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遺言書の種類とメリット・デメリット 


 

遺言書の種類 自筆証書遺言 公正証書遺言 秘密証書遺言
メリット ・作成に費用がかからない
・好きなときに書くことができる
・遺言書の原本が公証役場に保管されるため、改ざんや紛失の恐れがない
・検認が不要
・ワープロ等で作成することができる
・存在を明らかにしたまま内容を秘密にできる
デメリット ・全文を自筆でかかなければならない
・様式不備により無効とされる可能性がある
・盗難や紛失、改ざんされたり、発見されない可能性がある
・本人が作成したものか争いが生じる可能性がある
・検認手続きが必要
・作成に費用がかかる
・証人2人が必要
・内容を秘密にできない
・費用がかかる
・盗難や紛失の可能性がある
・証人2人が必要
・検認手続きが必要
検認手続き 必要 不要 必要
証人 不要 2名以上必要 2名以上必要

 

 

遺言書がある場合・ない場合の相続手続き  

 

A.遺言書がない場合

  • 「(a)死亡した人の出生時から死亡時までの連続した戸籍謄本」で相続人を確定
  • 「相続人全員」で遺産分割を行う
  • 分割内容が決まったら「遺産分割協議書」を作成する
  • 相続手続きを行う

 

B.自筆証書遺言、秘密証書遺言の場合

  • 家庭裁判所へ検認の手続きを行う(上記(a)や相続人の戸籍謄本なども必要)
  • 検認後遺言書が有効の場合は遺言内容の執行を行う
  • 検認後遺言書が無効と判明したり、書きもれ財産などの行き先指定がない場合は、Aを行う

 

C.公正証書遺言の場合

  • 相続手続きを行う 

 

 

法定相続人は誰か 

 

法定相続人とは、被相続人(死亡した人)の財産を相続する権利がある人のことをいい、この権利は民法で定められています。


配偶者は常に相続人

配偶者は、常に相続人です。しかし、婚姻届が出されていなければ、配偶者にはなりません。別居中であっても婚姻届が出されていれば相続人ですが、婚姻届を出していない内縁関係の場合などは、同居していても相続人になれません。

 

第1順位

第1順位の相続人は、被相続人(死亡した人)の子(直系卑属)です。
子がいる場合は、配偶者(子からすれば父・母)と、子が相続人になります。

配偶者がすでに死亡している場合は、子のみが相続人になります。

被相続人よりも前に子が死亡しているとき(父が死亡する前に子が死亡など)は孫、孫も死亡しているときは孫の子と相続権が移ります。これを「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」といいます。

第1順位の相続人(配偶者と子)   第1順位の相続人(子のみ)   第1順位の相続人(配偶者と子の代襲相続人) 

第2順位

第1順位に該当する者がいない場合は、被相続人の親(直系尊属)が相続人になります。

第1順位(子など)がいる場合には相続人になれません。

配偶者がいる場合には、配偶者と直系尊属(被相続人の親)が相続人になります。

被相続人よりも前に父母が死亡しているときは、祖父母が父母の代わりに相続人になります。

第2順位の相続人(配偶者と父母)   第2順位の相続人(父母のみ)   第2順位の相続人(配偶者と祖父母)

 

第3順位

第1順位、第2順位に該当する者がいない場合は、被相続人の兄弟姉妹が相続人になります。

第1順位(子など)、第2順位(父母)がいる場合は、相続人になれません。

配偶者がいる場合には、配偶者と被相続人の兄弟姉妹が相続人になります。

兄弟姉妹が死亡しているときは、兄弟姉妹の子(甥、姪)が代襲相続人になります。なお、兄弟姉妹に代わって相続人となれるのは甥、姪までです。

第3順位の相続人(配偶者と兄弟姉妹)   第3順位の相続人(兄弟姉妹のみ)  第3順位の相続人(配偶者と兄弟姉妹の代襲相続人)

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法定相続分(民法900条)

 

配偶者 直系卑属(子など) 直系尊属(親など) 兄弟姉妹
1/2 1/2    
2/3   1/3  
3/4     1/4

同順位の相続人が複数いる場合、各自の相続分は均等になります。

 

例えば、上の図を元にすると

第1順位の相続人(配偶者と子)

配偶者:1/2

子:各1/4ずつ

第1順位の相続人(子のみ)

子:各1/2ずつ

第1順位の相続人(配偶者と子の代襲相続人)

配偶者:1/2

子:1/4

孫:1/4

第2順位の相続人(配偶者と父母)

配偶者:2/3

父:1/6

母:1/6

第2順位の相続人(父母のみ)

父:1/2

母:1/2

第2順位の相続人(配偶者と祖父母)

配偶者:2/3

祖父・祖母:各1/12ずつ

第3順位の相続人(配偶者と兄弟姉妹)

配偶者:3/4

兄:1/8

姉:1/8

第3順位の相続人(兄弟姉妹のみ)

兄:1/2

姉:1/2

第3順位の相続人(配偶者と兄弟姉妹の代襲相続人)

配偶者:3/4

甥:1/8

姉:1/8

となります。

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争族にしない最初の相続 


相続は、身内で争う「争族」、争いが続く「争続」ともいわれます。

我が家は大丈夫と思っていても、イザとなるとモメることはよくあります。

 

まとまったお金を手にできるとしたら、退職金、宝くじ、生命保険金、遺産という限られたものくらいです。

しかし、退職金はアテにできなくなってきましたし、宝くじは夢物語に近い、生命保険金も高齢者の死亡保険金額はそれほど高額ではありませんしそもそも受取人でなければもらえません。

ですから、財産を当てにしてしまうのはしょうがないことかもしれません。

 

今のご時世、生活するのも大変です。少しでも多くもらいたい・・・そう思うのは自然なことではないでしょうか。

 

そうなると、少しでも多くもらいたい親族の「欲」がぶつかり、争いごとに発展してしまってもおかしくはありません。

私が親の面倒を見たのだから多くもらえて当然、おまえは結婚するときに家の頭金を援助してもらったじゃないか・・・と、自分はこれだけ親に対して行ってきたのだという主張と、相手は親から優遇されていたのだから平等はおかしいという意見が、どんどん幼少のころまで遡ります。

こうなると、もう修復不可能に近い状態です。「この相続が終わったらもう縁を切る」ということになるでしょう。

 

今までのケースを見ても、一次相続(親の一方が死亡した相続)では、さほどモメません。

片親の事を気にかけて、子が遠慮するケースが多いからです。必ずではありませんが、二次相続(もう一人の親が死亡したときの相続)よりはということです。

 

しかし、二次相続はドロ沼に発展することが多々あります。

なぜかというと、一次相続での遺産分割が適切ではなかったり、親に配慮する必要がないためです。

 

例えば、父が死亡し(被相続人)、母(配偶者)と子A・子Bが相続人で、父の財産は自宅の家と土地と預金だけだとします。

第1順位の相続人(配偶者と子)民法で法定相続分が決まっていますので、その通りに分配するとしたら、この場合、母が2分の1、子A・子Bがそれぞれ4分の1を相続することができます。

ここで、自宅の家と土地を共有名義にして、預金も法定相続分で相続したとします。母の相続のときどうなるでしょうか。

母が相続した2分の1の不動産名義分を子Aと子Bで分けなければなりません。

 

母  子A 子A 子A
子B 子B 子B

 




子Aが母と一緒に住んでいた場合、子Bが子Aに相続財産分を渡してほしいと主張したら、家と土地を売って現金を払うか、子Aの預貯金等から支払うなどをしなければなりません。

 

このように、一次相続では「とりあえず」という形で相続してしまうことが多いのですが、二次相続でモメてしまいます。

 

子Aが親と同居していたのなら、父の相続の時に母と子Aで不動産を相続し、子Bに現金を渡す。母の相続の時に、母名義の不動産分を子Aが相続し(不動産は子Aのみの名義になる)、子Bに母の不動産以外の財産を渡すというように、最終的にどうするのかを考えておかなければなりません。

 

実際には不動産と現金などの場合、平等にわけるのは難しいのですが、不動産を兄弟で共有名義にするのは、あとあとモメる典型ですので、よく考えて一次相続を行うことが大切です。

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トラブルにしないための遺言書とは 

 

せっかく遺言書を書くなら、トラブルにならないようにしなくてはなりません。

  1. 相続人のことを考えた遺言内容であること
  2. 無効にならない遺言書であること
  3. 相続人に負担(時間・費用)がかからない遺言書であること

このような遺言書にするのが望ましいのです。

 

 1.相続人のことを考えた遺言内容

 誰かに全財産を相続させたいから遺言書を書こうと思っても、「遺留分」という法定相続人が最低限持っている相続財産の権利を無視してはいけません。


第1順位の相続人(配偶者と子)例えば、母(配偶者)、子A、子Bが相続人の場合、法定相続分どおりにわけると母2分の1、子A・子Bともに4分の1ずつです。

遺留分は母4分の1、子A・子Bともに8分の1です。法定相続分の2分の1が遺留分なのです(ケースによっては異なります。詳しくは遺留分にて)。

 

ですから、母に全財産を相続させるとしても、子A・子Bから8分の1ずつは自分の取り分と法律で決められているのだから、財産をちょうだいと言われたら、その分を渡さなければなりません。

 

それから、特に財産の増加に貢献してもらったとか、介護などでお世話になったなどの人がいる場合には、その人に多めに残すようにするとか(寄与分という)、住宅の頭金など先にある程度の配慮をしたという人には少なめにするとか(特別受益という)、これらを考慮した分割にしたり、換金性を考えたりしなければなりません。

それと、この遺言書を誰が執行するのか「遺言執行人の指定」も行っておかなければなりません

 

 2.無効にならない遺言書 

法定要件を満たした不備がない遺言書でなければなりません。

意思表示があるのに遺言書が無効だと、多くもらえるハズのひとは納得いかないですし、少ない人は法定相続分にしようと主張します。

遺言書があるためにもめてしまったりすることがありますので、無効にならない遺言書にしなければなりません。

それと、相続財産が漏れていることがたまにあります。遺言書に書いていないものは、相続人全員で話し合って遺産分割協議書を作成しなければなりません。書き漏れも要注意です(予備的遺言・書きもれ財産の手当て参照

 

 3.相続人に負担(時間・費用)がかからない遺言書 

手書きの遺言書(自筆証書遺言)は、テレビドラマみたいに、その場で開封してはいけません。

まずは開封する前に、家庭裁判所に「検認」してもらわなければならないのです。


検認とは、遺言書の形状や加除訂正の状態など遺言書の内容を確認するもので、遺言書の偽造や変造を防止するための手続きで遺言書が有効かどうかを判断してもらうものではあり ません。

手元にある遺言書を検認申立てし、いつ来てくださいという通知に従って家庭裁判所に行き、そして「検認済み証明書」と遺言書をもって帰ってくるのですが、地域によっては2・3か月かかるところもあります。

 

このとき、死亡した人の出生から死亡までの戸籍謄本を用意したり、相続人の戸籍謄本や印鑑証明など、準備するだけで時間がかかることもあります。

 

これが、公正証書遺言であれば検認不要です。

 

遺言書を作成する人がある程度の書類を準備すればよいので、相続する人がラクなのです。 

ただし、公証人に作成をお願いしますので、多少の費用がかかるのと、証人が2名以上必要ですが、相続人の負担は大幅に減らすことができます。

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遺言書作成時の注意事項 

 

遺言書は、法律で定められた要件(日付、内容、署名、押印)を満たしていなければなりません。
しかし、要件さえ満たせばよいわけではありません。

遺言書を作成するときには、さまざまなことを考慮したり配慮したりすることも必要です。実際にはすべてを盛り込んで遺言書を作成することは難しいことですが、「何となく」作成するのではなく、「よく考えたうえで」作成することが大切です。

遺言書を作成する目的は、「自分の意思表示」だけではないはずです。残された人たちのことを考えて作成するのですから、その人たちが後でもめないようにしておくことは必要です。

例えば、
  1. 相続人のことを考えた遺言内容
  2. 遺留分(いりゅうぶん)を考慮
  3. 寄与分(きよぶん)を配慮
  4. 特別受益(とくべつじゅえき)を配慮
  5. 二次相続(にじそうぞく)を視野に入れた分割
  6. 予備的遺言・書きもれ財産の手当て
  7. 付言(ぶげん)事項
  8. 遺言執行人(ゆいごんしっこうにん)

などです。


1. 相続人のことを考えた遺言内容
前ページと重複する部分がありますが、「自分の意思を形にするために遺言書を作るのだから、財産はあげたい人に渡したい」という気持ちだけで遺言書を作成すると、相続人の中で嫌な思いをしてしまう人がいるかもしれません。

遺言書は、自分の意思を表すことができますが、相続する相手側がいることを忘れてはいけません。
相続する人のことも考えて、単に意思の押し付けにならないよう、配慮しておくことが大切です。

残された家族にわだかまりが残ると、その感情ものちのちまで続きます。
供養を行うために親族で集まることもありますし、次の相続があるかもしれません。相続が終わったら親族関係も終わったということがないよう、遺言書を残す側の責任も考えることが大切なのです。


2.遺留分(いりゅうぶん)を考慮

遺留分」とは、相続人が最低限相続できる割合のことをいいます。

例えば、兄と弟の2人が相続人で、「全財産を兄に相続させる」となっていた場合、弟は何も財産をもらえません。本来なら、弟は財産の2分の1(=1/2)がもらえるはずです。

このような場合、弟が兄に対して「自分(弟)が最低限もらえる分(遺留分)を兄がもらいすぎているから、その分は返して」と主張することができます(この主張を「遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)」といいます)。

割合はケースによって異なるため下表を参考にしていただきたいのですが、このケースの場合は1/4を遺留分として主張することができます。

あくまでも「遺留分」は、主張することが”できる”だけで、主張しないこともできます。遺留分を侵害してはいけないものでもありませんが、あとで遺留分を主張されたときのことも考えて遺言書を作成するとが大切です。

【法定相続分と遺留分法定相続分と遺留分一覧2.jpg

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3.寄与分(きよぶん)を配慮 

寄与分」とは、財産の維持や増加に特別な貢献などを行ってくれた相続人に対して、その貢献度に応じて他の相続人より少し多めに相続をさせようというものです。

例えば、目に見えて財産を増やすために貢献したというものばかりではなく、実際は財産を減らさないために貢献したというケースも当てはまります。

よくいわれるのは、「親の介護を自分だけが行ったのだから少し多めにほしい」というものですが、これが必ずしも「寄与」に該当するとは限りません。

ですので、相続人の中で特にお世話になった人やお世話になるはずの人などには、ある程度お礼としての気持ちが遺言書に盛り込まれているほうが貢献した人も納得しやすくなります。

「自分はこんなに親のためにがんばったのに、なぜ他の人と平等なの!」という感情がトラブルになることもありますので、その気持ちを汲むことも大切です。


4.特別受益(とくべつじゅえき)を配慮

大学進学費用、留学費用、住宅取得のための費用、借入金返済の肩代わり、事業開業の資金援助、婚姻のための贈与などを「特別受益」といいます。これらを特定の相続人に行った場合には、その分を少なく相続させることも必要です。

「兄はマイホームを取得するとき父から1000万円もらっているのに、弟の自分はもらっていない」となると、弟からすれば、1000万円先にもらっているのだから、父が死亡したときはその分少なくないと不平等となります。

遺言する側からすれば記憶が残っていないことでも、不平等を感じた相続人にしてみれば、よく覚えているものです。すべて平等にすることなど無理ですが、ある程度の配慮は必要ということです。


5.二次相続(にじそうぞく)を視野に入れた分割

二次相続とは、次の相続のことです。
例えば、父の相続のあと、母が高齢なら、そう遠くないときに母の相続があるかもしれません。ならば、次の相続を見越して相続させることも必要です。

最初の相続(一次相続)は、片親を配慮してもめなくても、次の相続では親の財産をめぐって争いになることもあります。

「とりあえず」相続させるのではなく、先のことも考えて遺言書を作成することが大切です。
争族にしない最初の相続 参照

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6.予備的遺言・書きもれ財産の手当て

遺言書で指定した相続人が、遺言者より先に死亡してしまったとき、遺言書に書かれている相続分を誰が受け取るのか指定しておくことが必要です。これを「予備的遺言」といいます。

例えば、妻に財産の2/3を相続させると書いてあるのに、遺言書である夫より先に妻が死亡してしまった場合、妻が相続するはずの2/3分は、法定相続人全員でどのように分けるのか遺産分割協議をおこなうことになります。

ですので、そのような場合、誰が代わりに受け取るのかを遺言書内で指定しておくほうがスムーズです。


それともう一つ、書きもれしてしまった財産があったときに(あとで財産が見つかったときなど)、その財産の行く先を決めておくことも必要です。
例えば、「その他一切の財産を妻に相続させる」というようにしておくことも必要です。


7.付言(ふげん)事項

付言事項」とは、相続人に対するメッセージのようなもので、法的効力はありませんが、この遺言書を書いた理由や家族への感謝の気持ち・想いなどを伝えるものです。

例えば、「全財産を妻に相続させる」というようなことが遺言書に書かれていた場合、他の法定相続人は遺留分を侵害されています。
しかし付言で、「今まで妻には苦労をかけてきたから、今後の生活を考えて妻に全財産を相続させたい。だから、子供たちはお母さんに全財産を残すことをわかってほしい。」というように、なぜこのような遺言書をかいたのかなどを残しておけば、遺言者の気持ちが伝わります。

メッセージが有るのと無いのでは、受け取る側の気持ちも違いますので、記入しておくことをオススメします。


8.遺言執行人(ゆいごんしっこうにん)

遺言執行人」とは、遺言の内容を実現する人のことです。
「誰が行うのか」をあらかじめ遺言書で指定しておきます。

なお、遺言執行人は特定の資格は必要ありませんので、誰でもなることができます(未成年者や破産者を除く)。
通常は、一番多く財産を相続する人がなったり、専門家に依頼したりします。遺言執行者として指定されていても、その人が別の人に委託することができるような文章にしておくことも可能です。


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コラム:葬儀準備について矢印赤.png

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